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鼻のおはなし

鼻アレルギーの症状は?

耳鼻科を受診される患者様の中で、”くしゃみ・鼻水・鼻づまり”を訴えて来られる方がとても多いのですが、これはアレルギー性鼻炎の特徴的な症状です。

鼻アレルギーは持って生まれた体質が根底にあるので、アレルギーの素質を持っていても症状の出ない人、環境や体調などで症状が強く出る人などさまざまですが、これを根治することはできません。

そこでアレルギーの治療の目的はアレルギーの症状をうまくコントロールして、日常生活での不自由をなるべく少なくすることになります。


鼻アレルギーの治療は?

アレルギーの治療は主に薬物治療(内服薬や鼻のスプレーなど)を中心に行いますが、それらでのコントロールが十分でなく、アレルギーの症状に悩みの深い方には手術的治療を行うこともあります。

手術ではアレルギ-反応の起こる鼻の粘膜の切除・減量を、また鼻中隔彎曲のある人には鼻中隔の曲がりを矯正する手術を組み合わせて行います。

この手術をする場合、入院が必要になり、また手術後のガーゼ抜去時の出血や痛みも伴い、なかなか簡単にはお勧めできないところがあります。

そこで薬物治療と手術治療との間に位置するのがレーザー治療です。

当クリニックではCO2レーザーの外来治療を行っています。

これはCO2レーザー(二酸化炭素から発生させる遠赤外線)装置を使って、鼻の粘膜全体に非接触で広く浅く照射することにより、アレルギー反応の起こる鼻粘膜の表面を変性させてアレルギー反応が起こりにくくすることを目的とした治療です。

鼻の粘膜の表面が少し凝縮したようになるため鼻の粘膜の大きさもやや減少します。
手術は鼻の粘膜に局所麻酔薬を浸み込ませたガーゼを当てて20分ほど麻酔を施した後、ほとんどの患者様で同日に両側のレーザー治療を行います。


実際にレーザーで鼻粘膜を照射する時間は10-15分ぐらいです。
その間痛み、出血はほとんどありません。治療終了後はそのまますぐお帰りいただけます。
手術のあとは治療をした鼻粘膜の表面にしばらくかさぶたが付着するので、はじめのうちは鼻づまりがありますが、1週間後ぐらいにはほとんどかさぶたも取れ、自覚的に改善したかどうかを感ずることができます。


ただし、この治療は万能ではありません。
改善したと感ずる患者様が7-8割、効果が無かったと感ずる患者様もおられます。
効果が上がるのは、“くしゃみ・鼻水・鼻づまり“の症状の中でも鼻づまりタイプの方が多いようです。


効果のあった方で、治療後、抗アレルギー薬が不要になる方もいれば、やはり何らかの薬の治療も併用される方もおられます。
また人間の体は変化をさせても元に戻ろうとする傾向が強いので、治療効果が長年持続する方もあれば、次の年にはまたレーザー治療を希望される方もあるようです。


レーザー治療はこのように外来で短時間に非侵襲的に行うことができ、効果も比較的良好ですので、ぜひお勧めしたい治療ですが、これでの治療効果がない方に対しては、やはり手術的治療を最終的にお勧めするようにしています。


また鼻の構造上、鼻中隔の彎曲が強い方は、レーザーの道具を鼻の奥まで安全に挿入できない場合があり、十分にレーザーで照射できないため、はじめから手術的治療をお勧めすることもあります。


鼻の手術については、また別のコラムを設けてご説明したいと思いますが、手術になった場合でも、当クリニック医師が主治医となり、高度医療機関として連携している今給黎総合病院での手術を行っております。

ご希望、または話だけでもお聞きになってみたい方は遠慮なくご相談ください。

鼻・のどの内視鏡検査

耳鼻科領域のファイバー検査には、鼻咽腔ファイバー、喉頭ファイバーがあります。

耳鼻科で行う鼻咽腔ファイバーおよび喉頭ファイバー検査は、通常軟性(フレキシブル)の
ファイバーを鼻腔から挿入して、鼻やのどの複雑で凹凸のある部分をなるべく刺激しないように動かしながら観察できるもので、直径3-4mm程度とかなり細く痛みや違和感もそれほどありません。

また、硬性ファイバーもあり、これはまっすぐの金属製のものですが、鼻の中の外来手術をしたり、腫瘍などを疑う病巣の組織を試験的に採取して検査に出す目的などで、片方の手でファイバーを持って視野を確保しながらもう片方の手で処置をする場合などに使います。

鼻ものども、普段なかなか直接は見えない部位ですので、ファイバーを使って観察することで、肉眼で見えにくかった隠 れた部位の病変や小さな病変、粘膜表面の微妙な異常などを見つけることができ、また患者様にそれらの画像をビデオや写真でお見せして御説明することで、患 者様にも言葉の説明だけでは分かりにくいご自分の病状を理解・納得していただくことができます。

ファイバー

ファイバー

鼻咽腔ファイバー:鼻咽腔ファイバーでは鼻腔や上咽頭(鼻腔の一番奥)の観察をします。

たとえば、鼻出血の出血部位の確認、副鼻腔炎に伴う鼻茸、鼻粘膜の肥厚や腫脹、鼻中隔彎曲の程度の観察・評価、鼻腔腫瘍や上咽頭腫瘍の確認や経過観察などです。

また副鼻腔炎の患者様で、鼻汁が貯留している顔面骨の中の空洞(副鼻腔)から鼻腔への通路が詰まっていたりそこに鼻茸ができている場合に、局所麻酔下に硬性ファイバーで鼻の中を観察しながらつまりや鼻茸を除去して、副鼻腔と鼻腔との交通を改善する簡単な手術を行います。

鼻茸

鼻出血

上咽頭腫瘍

喉頭・下咽頭ファイバー:喉頭ファイバーは舌根部から喉頭・下咽頭までが守備範囲です。

喉頭とはのど仏を形成する軟骨の枠に守られた声帯や声帯にかぶさる蓋のような構造物のあるところです。気管の入り口につながっています。その後方に隣り合わせて、食物が食道に流れ込む入り口としての下咽頭があります。これらの部位での喉頭ファイバーの活躍場所は、たとえば魚の骨をのどに引っかけて取れないとき、ファイバーで引っかかっている部位を確認しながら取り除く、声がかすれた時、声帯ポリープや声帯腫瘍、声帯麻痺がないか見てみる、食べ物の通りが悪いような気がしたり、詰まった感じがするとき、舌根部や下咽頭の脹れや腫瘍がないか見てみるなどです。

声のかすれから声帯の麻痺を確認し、原因として耳鼻科以外の領域の肺疾患や脳梗塞を予測し、それらの病気の発見につながることもあります。

正常声帯

正常声帯

喉頭ポリープ

喉頭腫瘍

現代の複雑な社会環境の中、精神的なストレスなどで、咽頭喉頭の気になってしかたのない違和感・心配を抱えている方もたくさんおられます。

何も病気はないかも知れません。もしくは早く発見して完治できる病気があるかも知れません。
悩んでいないで、上記のような耳鼻科医にしかできない診断方法で悩みを解消できるように、ぜひご相談ください。

副鼻腔炎(蓄膿症)

副鼻腔炎とは、鼻腔(鼻の穴)とつながった空洞(副鼻腔と呼ぶ)の粘膜に細菌などにより炎症を起こしたものです。一般的には蓄膿症と呼ばれます。副鼻腔は、眼球をとりかこむ様に存在する空洞(上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形洞など4種類ある)で正常の鼻汁を作っています。正常な鼻汁は鼻やのどを乾燥させること無く潤して、繊毛運動の働きを維持する働きがあります。鼻には肺に送る空気に加湿し、細菌、ウイルス、ごみなどを除去する働きがあり正常な鼻汁はこの働きを維持するためにとっても重要です。副鼻腔炎は感冒の後に起こることがほとんどです。通常感冒は1週間以内で治癒しますが、感冒後膿性鼻汁、後鼻漏、頭重感、頭痛、痰がらみの症状が持続する場合は副鼻腔炎をおこしている可能性があります。一般的な症状としては鼻汁、鼻閉、頭痛、嗅覚障害などです。低学年の子供では痰のからんだ咳が持続し喘息と間違われることも度々です。乳幼児では目やにもよくみられる症状です。涙は目をまもるためにつくられますが余分なものは鼻の中に回収されます。副鼻腔炎による鼻粘膜の腫れがおきると、涙の回収が不十分になり涙目や目やにの症状が出ます。

治療は鼻汁をよくとり、副鼻腔への交通路をひろげてあげ、副鼻腔から鼻腔への繊毛運動を含めた排泄をスムーズにしてあげることが必要です。交通路が閉塞している状態が続くと慢性化しやすくなります。ネブライザー治療は交通路を広げる処置を行い炎症を抑えるお薬のはいった粒子を吸入するのでとても有用です。また鼻汁が多い時、副鼻腔の炎症が強い時は内服薬も必要になります。こう言う訳で耳鼻科でおこなう鼻処置や治療が非常に重要になってきます。副鼻腔炎は風邪の後に起こる疾患で風邪が長引いている状態ではありません。いつまでも風邪として放置すると、これを繰り返しやすくなったり、慢性化して治りにくくなったり、場合により手術が必要になります。急性の場合はしっかり治療すれば2-4週間でレントゲンもきれいになりますが、慢性化すると正常化しにくく長期の治療が必要になります。またアレルギー性鼻炎の合併があると治りにくく、治療に工夫が必要です。また治療中に1-2週間内服治療をすると鼻汁もとまり、治ったような気がしますが、その時点では、まだ副鼻腔の粘膜はまだ正常化していませんので、鼻汁が止まっても、まだもう少し治療が必要です。勝手な治療の中断は慢性化の要因になりますので注意が必要です。治療のめどは急性のもので2-4週間、慢性のもので2-3ヶ月の治療を要します。レントゲン検査などで副鼻腔の陰影が消失するまで治療を行いましょう。