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くびのおはなし

首が腫れる病気

首が腫れる病気(1)

首が腫れると皆さんとても心配されて、まず悪いことからあれこれ疑心暗鬼されるようですが、首が腫れる病気の中にも、気にしなくても良いものから、早急に検査を進めなければならないものまで、いろいろ有ります。一人で悩むよりも、まず耳鼻科に相談してみてください。

首が腫れる病気(1)---耳下腺

耳下腺は両側の耳の下部にある組織で、唾液腺(唾液をつくる組織)のひとつです。唾液を作る組織にはほかに顎の下両側にある顎下腺、口腔や咽頭の粘膜のいたるところにある小唾液腺などがあります。


耳下腺が腫れた時、まず考えるのは“おたふくかぜにかかった” ですね。おたふくかぜは別名流行性耳下腺炎とも言って、ムンプスウイルスというウイルスが耳下腺組織に感染して炎症をおこすものです。たいていはまず片方 の耳下腺が全体的に腫脹し、あまり硬くはありません。食事を食べる時唾液が分泌されるのですが、炎症があると唾液の口腔内への流出が悪くなり耳下腺内に溜 まるので、食事に伴う痛みの増強、耳下腺腫脹の増強が起こるのが特徴的です。たいていは1-2日遅れて反対側の耳下腺も同様に腫脹してきます。時には同じ 様に唾液を作る組織の顎下腺にも腫脹疼痛の症状が出ることもあります。症状は耳下腺、顎下腺の腫脹・疼痛のほか、発熱もあります。おたふくかぜはたいてい は小児期にかかって終生免疫を作るため、一度かかるとその後はかからないのが原則です。しかし前におたふくかぜにかかったはずなのにまた耳下腺が腫れたと 受診されることがよくあります。この場合、以前の耳下腺の腫脹はおたふくかぜ以外の耳下腺の炎症が出ていた可能性もあるわけです。おたふくかぜにかかった かどうかを確認するには、おたふくかぜに特有の血清免疫を血液検査で調べる方法があります。おたふくかぜにかかっても、たいていは腫脹、疼痛、熱などが数 日出る程度ですが、たまに重篤な症状として、主に小児期では神経性難聴、大人では精巣炎(睾丸炎)による不妊などが起こることがあります。また稀に髄膜炎 を起こすこともあります。治療は特異的なものはなく、対症療法のみです。ただ飛沫感染により周囲の人にうつす可能性があるので、発症してから1週間は自宅 待機が必要です。


同様に耳下腺が腫脹したり、疼痛が出る病気で、急性化膿性耳下腺炎反復性耳下腺炎などもあります。急性化膿性耳下腺炎は 細菌が耳下腺に感染して、耳下腺内に膿汁がたまり、著明な疼痛、皮膚の発赤などと、口腔内に膿汁の混じる唾液が出てくるものです。この場合は抗生剤の使用 が必要です。また細菌の感染はないのですが、耳下腺からの唾液の排出が不良のために耳下腺内に唾液が貯留して耳下腺が腫脹したり疼痛が出たりするタイプの 耳下腺炎もあります。これらの耳下腺の炎症や唾液の停滞を反復することもあり、これを反復性耳下腺炎といいます。おたふくかぜと異なり、これらの急性または反復性耳下腺炎はたいていの場合は片側のみに起こることが多いようです。


また耳下腺が腫脹する病気として腫瘍性疾患もあります。耳下腺の腫瘍は良性のものが圧倒的に多いのですが、その中でも多形腺腫ワルチン腫瘍と いう良性の腫瘍が80~90%ぐらいを占めます。耳下腺の腫瘍はこどもには稀で、たいていは20台以降の大人に発生しますが、その中でも多形腺腫は若年 層、ワルチン腫瘍は多形腺腫より年齢が高めにおこりやすいようです。前述の炎症性耳下腺炎が全体的に比較的柔らかく腫脹するのに比べて、腫瘍では耳下腺が 部分的に腫脹し、やや硬いこともあります。痛みは炎症性に比べてすくないようです。炎症性では炎症が治まれば腫脹は消失しますが、腫瘍は腫脹がなくなるこ とはなく、逆に徐々に増大したりします。耳の下にしこりが長く続く時は一度診察を受けるのが良いと思います。


多形腺腫は稀に悪性化することもあり、見つけたら手術をするこ とをお勧めします。耳下腺は組織内を顔面の表情を作るのに大切な顔面神経が走っており、腫瘍を摘出する時、顔面神経をどうしても触ることになります。腫瘍 が大きいほど、顔面神経にかかる負担も大きくなりますので、腫瘍を見つけたらなるべく早く、腫瘍が増大しないうちに切除するのが望ましいと思います。万が 一腫瘍が悪性であった場合も腫瘍が耳下腺組織内にとどまっており、腫瘍を包む被膜が保てたれていれば、再発の可能性も低くなりますのでそのためにも早めの 手術が良いと思います。 ワルチン腫瘍は多形腺腫に比べて悪性化の心配は少ないので、患者様の条件により経過観察をすることもありますが、増大著明で美容的に目立つようになることもあり、そのことからも条件が許すなら、やはりはやめに摘出するのが一番よいように思われます。


では、耳下腺にできた腫瘍が多形腺腫かワルチン腫瘍かどうやって判断するの?ということですが、まずは触診、その後 は超音波検査、CT、MRIなどを行って総合的に判断します。場合により針生検といって、腫瘍を注射針で穿刺し、腫瘍の細胞を数個とって、顕微鏡の検査を 行うことがあります。しかし、針生検で確定診断はなかなかつきにくく、確実なのは腫瘍があることを確認したら摘出して、摘出した腫瘍の組織をしっかり検査 し、確定診断をつけることが大切と思います。


耳下腺の病気に関してはまずはこれくらいです。次は顎下腺について書きたいと思います。お楽しみに。

首が腫れる病気(2)

前回首が腫れる病気として耳下腺に関して書きましたが、今度は顎の下左右で腫れる顎下腺の病気について書いてみたいと思います。

首が腫れる病気(2)---顎下腺

顎下腺は両側顎の直下にある唾液腺(唾液を作る組織)のひとつです。大きさは個人により差があり、顎の下を触っても全然分らないぐらいの小さなものから、触ると鶉の卵のような大きさにふれるものなど個人によって大きさは様々です。前回書いた耳下腺は比較的さらさらした唾液を分泌するのに対して、顎下腺は少し粘性の唾液を分泌します。


顎下腺は顎の下方に唾液を作る工場としての袋のような組織と、その袋でできた唾液を運ぶために袋の出口から舌の下面の真ん中まで続く細い通路とでできています。口をあけて舌を上に持ち上げておいて、左右どちらかの顎の下の袋を押してみてください。舌の中央に透明の唾液が出てくるのが見えることもあります。この出口のことを、それを発見した人の名前にちなんでワルトン氏管開口部といいます。


顎下腺が腫れる病気で一番多いのが、唾石症です。顎下腺は産生される唾液が粘性で石ができやすい成分であること、唾液を排出するための管(ワルトン氏管)が長くやや上向きになっていること、排出孔(ワルトン氏管開口部)も狭いことなどから、唾液を作ってから排出するまでの通路に唾液が停滞しやすく、唾石ができやすい状態にあるのです。


唾石ができて顎下腺からワルトン氏管の開口部までの狭い部分に詰まってしまうと、唾液の流れ出しが悪くなり、詰まったところより奥に唾液が溜まります。そうすると、唾液が溜まったところが風船が膨らむように腫れてきて、痛みが出ます。肉眼的にみても顎の下が腫れているのが分るようになります。特徴的な症状は、食事をすると唾液の分泌が増えるので、痛みや腫脹が増強しますが、食後暫くすると症状が緩和することです。


治療は基本は唾石を取り除いて、唾液の流れをスムースにすることです。口の中から届く範囲にある唾石は口腔内から粘膜を切開したりして唾石を除去します。しかし、口の中から到達できないほど奥にあるような唾石の場合は、全身麻酔の手術になります。顎の下で皮膚を5-6cmほど切開して、その奥にある唾液を作り出す袋から唾液を運ぶ通路の唾石のある部分までをしっかり確認して、唾石を含んだ範囲で袋ごと切除します。切開の傷は顎骨の下の窪んだところにできるので、術後それほど目立つことはありません。


そのほかで顎下腺の腫脹を起こす病気としては、細菌性顎下腺炎があります。口腔内はもともといろんな細菌が常在している部位なのですが、虫歯や歯周病、口腔内の乾燥や炎症が原因で細菌が増生すると、唾液の流れに逆らって、細菌がワルトン氏管から顎下腺まで及んで感染症状を起こします。強い疼痛や腫脹、皮膚の発赤などです。治療は抗生剤の内服や点滴です。また、耳下腺のおたふくかぜについて前回説明しましたが、顎下腺にもおたふくかぜの症状も出ることがあります。症状や治療については耳下腺に起こったおたふくかぜと同じです。


以上が顎下腺が腫脹する病気の大部分を占めるものですが、そのほか稀に起こる疾患として、アレルギー性の原因、免疫系の原因で起こるもの、リンパ腫などもあります。


気になるのは顎下腺の腫瘍ですが、顎下腺では耳下腺に比べて腫瘍の頻度はかなり低いです。耳下腺の腫瘍の起こる確率の3分の1から4分の1程度と思います。しかし、耳下腺の腫瘍の中では80%~90%が良性の腫瘍であるのに対して、顎下腺では腫瘍の50%程度に悪性を認めます。特徴は何年も前から顎下部のしこりを自覚しているが、とくに痛みはなく、前述した炎症のような食事に伴う大きさや痛みの変化もないものです。このようなしこりで、最近少し大きくなったような気がするといわれて受診されることがあります。超音波やCT、MRIで検査をして腫瘍が疑われる時は、手術で腫瘍を含む顎下腺の摘出及びその周囲のリンパ節郭清が必要になります。手術や病理検査の所見によっては、手術後の抗がん剤治療や放射線治療なども必要になることが有ります。しかし、顎下腺の腫瘍はかなり稀なものですから、しこりに気がついたら、過度に心配する前に耳鼻科医に相談してください。検査や治療が早ければ、“なーんだ!”と安心することも多いと思いますし、万が一腫瘍であった場合も早い治療が第一です。


以上が顎下腺が腫れる病気についてのご説明でした。 耳下腺、顎下腺と首の両側に腫れる病気についてご説明したので、次には首の上部―真ん中に起こる病気をご説明することにします。 

首が腫れる病気(3)

これまでに耳下腺、顎下腺が腫脹する病気を説明しました。これらは首の左右に対称的に存在する唾液を作る組織でしたが、今回は首の真ん中に腫脹する病気について書いてみます。

首が腫れる病気(3)---首の上部―真ん中の腫脹

 耳下腺、顎下腺は唾液を作る組織(唾液腺)でしたが、これらは唾液を作る大きな袋として左右対称に存在する唾液腺で、大唾液腺と呼びます。それにたいして、舌の下部(口腔底)中央に存在するもうひとつの大唾液腺として舌下腺があります。舌下腺から生じて大きく膨れ、口腔底の粘膜が膨隆したり、たまには顎の真中(オトガイ部)真下が膨れたりする病気があります。この膨れ方がガマガエルが鳴いているときの膨れ方に似ているので、その名も面白いガマ腫と呼びます。舌下腺の一部に唾液が溜まるためにできるもので、薄い膜に包まれた嚢胞です。小さいうちは痛みもなく、あまり気にならないのですが、大きくなってくると口腔底の違和感や舌が押し上げられるような状態になり、食べにくかったりしゃべりにくかったりすることもあります。また口腔底を形成する筋肉と嚢胞の位置関係によって、腫脹が口腔底よりもオトガイ下部、顎の真下に目立ってくることもあります。嚢胞の壁は薄く、内部は液体(唾液)が溜まっているので、触ると軟らかく弾力があります。 治療は主には口腔底でガマ腫の壁を開いて口腔内に開放するだけにするか、嚢胞を周囲の舌下腺を含めて摘出するかです。オトガイ下部に膨れている時もできるだけ口腔底から摘出するようにしますが、稀に口腔底からどうしても摘出できない時、顎の下の切開で取ることもあります。手術をせずに、特別な薬剤を嚢胞内に注入して、嚢胞及びその周囲の舌下腺を硬化させるような治療をする場合もあります。ガマ腫は個々の境界があまりはっきりしない小さな唾液腺からできてくるものなので、摘出しても再発が起こることもありますが、手術で舌下腺をなるべく全部取り除くつもりで摘出するのが再発を最小にする方法です。


そのほかの首上方で真ん中が腫れる病気で代表的なものは正中頚嚢胞(甲状舌管嚢胞)です。お母さんのお腹の中で赤ちゃんが形成される時期に舌の付け根真ん中から甲状腺(のど仏の下部にあるホルモンを作る組織)まで細い管がつながっており、生まれるまでに管は退化してつながりが断たれるようになっているのですが、たまに管が残ってしまうことがあります。この残った管に貯留物が溜まったり、感染を起こして腫れたり、痛みが出たり、皮膚にも炎症が及んで発赤したり、稀には皮膚につながる孔ができて膿汁が出てきたりすることもあります。たいていはのど仏の上の部分に腫脹が出ます。治療は手術で袋を摘出します。良性のものですので、取ってしまえば心配はありません。


また腫瘤として腫れるのではなく、顎の下が全体的に腫脹し、時には首のくびれがなくなるくらい腫れることもあります。口腔内や口腔底に急性の化膿性炎症が起こって、膿汁の溜まりを作ったり、口腔底や前頚部の組織は比較的疎であるために膿汁が前頚部の筋肉の隙間に拡散してゆき広い範囲に炎症を及ぼすものです。口腔底膿瘍とか口腔底蜂窩織炎と呼びます。原因はいろいろですが、歯科疾患に起因する炎症の波及や口腔内の傷、扁桃炎、口腔内の腫瘍、頚部リンパ節炎なども原因になります。頚部の強い痛みや熱を伴うことが多いですが、炎症が強くなると、嚥下障害や呼吸困難が出たりすることもあるので、早めに受診するようにしてください。治療はまずは抗生剤の点滴などですが、炎症、腫脹が強いときはCT、MRIなどでの検査をした上で、頚部の切開、排膿が必要になることも有ります。


頚部が腫れる時、皆さんが最初に思うのはリンパが腫れているということだと思います。もちろん前頚部にもリンパがあり、いろんな炎症や腫瘍性の病気でリンパも腫脹するのですが、リンパが腫れることについては首全体としてリンパが腫れた時に考えるべきことを改めて書きたいと思います。 

甲状腺疾患の精査と治療

甲状腺腫瘍

概説

甲状腺の腫瘍にも良性腫瘍と悪性腫瘍があります。
良性腫瘍には腺腫様甲状腺腫、濾胞腺腫があります。
腺腫様甲状腺腫は結節性(しこり状)の変化をきたす特殊な病変です。
甲状腺が増殖癒合し大きな濾胞を多数形成するため甲状腺が結節状に腫大してくるもので、時に巨大な甲状腺腫を形成します。
良性の変化ですが、圧迫症状が出るほど大きくなることや癌との区別がつきにくい時があります。

また濾胞腺腫は濾胞癌との区別がつきにくいことが多く、気をつける必要があります。
甲状腺の悪性腫瘍は比較的予後のよい分化癌と悪性度の高い未分化癌に分類されます。
分化癌には乳頭癌、濾胞癌、髄様(ずいよう)癌があります。
悪性度の高い未分化癌に甲状腺未分化癌、悪性リンパ腫などがあります。
甲状腺悪性腫瘍の大部分を占める分化癌(特に乳頭癌、濾胞癌)の増殖はゆっくりであり、あまり急に増大することはありません。
数年から時には数十年もの間、頸部に腫瘤(しゅりゅう)を触れる以外それほどの自覚症状もなく経過することがあります。
ただゆっくりではありますが、次第に周囲臓器へ浸潤し、頸部リンパ節転移、肺、骨などへの血行転移もみられることがあります。


症状

一般に頸部腫瘤(くびのしこり)でみつかる場合がほとんどです。
しかし進行した癌の場合、声帯麻痺(声がれ)、呼吸困難、嚥下(えんげ)障害などがみられます。
良性腫瘍でも大きくなり気管や食道の圧迫症状をきたすことがありますがまれです。
また、痛みがある場合、腫瘍内出血や未分化癌、髄様癌のことがあります。


診断・検査

甲状腺腫瘍の鑑別診断には超音波検査、吸引細胞診がとても有用です。
腫瘍の良性、悪性の鑑別や腫瘍の組織診断が可能です。
ただ濾胞腺腫と濾胞癌の鑑別は困難な例が多くみられます。


甲状腺腫瘍では甲状腺機能は正常範囲の場合がほとんどですが、一度は甲状腺機能(ホルモン値)を測定する必要があります。
甲状腺ホルモンが高い場合は機能性結節(腫瘍から甲状腺ホルモンが分泌されているプランマー病)の場合があります。
血中サイログロブリンは癌に特異性はありませんが、病勢を反映するので、濾胞癌、乳頭癌の治療効果のよい指標となります。
髄様癌では血中カルシトニンとCEAが上昇します。
その他、必要に応じて放射線ヨード摂取率の測定が有用な場合もあります。